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急遼、専門家にテレビ局に来てもらって質問に備えた局もあったぐらいである。 なかには、正月番組をこの伝染病の特集に切り替えて放映していたところもあって、その局では出演者に残ってもらって、電話相談に応じてもらったという。
しかしその質問は、2日の朝9時になってもつづいていた。 1月2日の昼ごろ、香港の放送局は重大なニュースを報じた。
それは、ブタから問題のウイルスを検出したというのである。 これには世界中のウイルス学者が注目した。
すでに一部の学者のなかには、日本のK博士のように、それを予想していた人もいたが、そのニュースで報じられたことのなかで、もうひとつ注目されたのは、実はこの病気で死んだブタは一頭もいないということであった。 これは一見、矛盾するように思えるが、ブタは、このウイルスに抵抗力ができているわけで、抵抗力のない、犬や猫や人間はやられてしまうということである。

これがウイルスの世界の厄介な点でもある。 しかし、人々は正月用に買い込んでいたブタ肉をすべて捨てた。
ブタに、この強烈な病気のウイルスがいたというニュースは、世界中を駆けめぐった。 どこの国にも患者はいたし、どこも対策に苦慮していたところへ、肝心のウィルスはブタにいたというので、ブタはその病気で死んでいないということをかき消してしまった。
世界中で養豚所が焼き打ちにあった。 日本でも、起きた。
ブタを食べないというだけではすまなかった。 諸悪の根源はブタにあるということになってしまった。
これは、それから1ヶ月も後になってわかったことだが、ブタは、そのウイルスを持っていても病気にならないだけでなく、ブタ肉をウイルスもろともに食べても、決して発病しないこともわかった。 犬や猫を経て、人間がこのウイルスに接触すると重大な病気になるという、これまでのウイルスのメカニズムには例のなかったケースなのである。
ブタにしてみれば「トンでもない濡衣」であったわけである。 しかし人々は、そんなふうには考えなかった。
悪いのはブタと思ってしまったわけである。 国立感染症研究所での会議は連日開かれた。
なにしろ、少しずつはわかってきたが、肝心の治療のほうは、どうにもならない。 しかし、多くの人々がペットを捨てたために、感染率はぐんと下がりはじめたし、患者数は激減した。
しかし、弱ったのは動物愛護協会が「厚生省は『ペットを捨てろ、殺せ』というが、動物虐待もはなはだしい。 ペットで飼い主が病気になるのなら、致し方がないではないか。
虐待を奨励している」ということである。

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